よろく

何かしらの余録

第九聴き比べ(その8)

9ラトル

9.1序

2枚だけだが、ラトルであればバーンスタインのすぐ後でも十分に太刀打ちできるだろう。過去記事はこちら。

 

 

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9.2聴き比べレビュー

Simon Rattle, Wiener Philharmoniker, City of Birmingham Symphony Chorus. Barbara Bonney , Birgit Remmert, Kurt Streit, Thomas Hampson (2002).

賛否両論ありそうな演奏。全体としては割とゆっくりめのはずなのにあまりそう聞こえない(ところどころ追い立てたりする)1楽章、やっぱりここを激しくするよねえという2楽章、美しいけど醒めてる3楽章と進んで、最大の特徴は4楽章の合唱だろう。少人数でキレの良い響きにする感があるが、ある意味それを最大限に活用して、強弱を思い切り明確につけている。最も分かりやすいのが880小節、特に887小節からの強弱の付け方。Welt!の部分だけ異様に強調されているようで突飛な感じもするが、そのおかげで緊張感が出ている。

Simon Rattle, Berliner Philharmoniker, Rundfunkchor Berlin. Annette Dasch, Eva Vogel, Christian Elsner, Dimitry Ivashchenko (2015).

ウィーン・フィルとの録音に比べると、1楽章は2分も速くなっているなど、テンポ設定は明らかに違う。キビキビというよりガシガシと追い立てられる感じ。ついでにいうと、ティンパニの音も傾向がだいぶ違う。もっとも、4楽章の合唱の強弱の付け方や強調部分は、ウィーン・フィルとやりたい放題やった成果をおとなしくして取り込んだ感じである。

9.3総評

どちらが良いかというと難しい。ウィーン・フィルとの録音が単発でやりたい放題の実験をして、ベルリン・フィルとの録音はオケを預かる指揮者としてより大人な演奏を志向したという感じである。それにしてもウィーン・フィルで実験、ベルリン・フィルにその成果というのは贅沢な話であるが、それにもかかわらず、ティンパニやトランペット、オーボエの音といったウィーン・フィルらしさは消えないのも大したものである。