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何かしらの余録

Meze Rai Penta(2021/02/20改訂・追記)

※2021/02/20:その後新しいイヤピースやプレーヤーで色々試したので、それをもとに結構改訂・修正しました。イヤピースの項目を追加して、音質についての記述に加筆・修正をしています。

 

少し前のことになるけど、Meze Rai Pentaを買った。今ではAKG N5005とともに(というか対照的な存在として)いつも使うものの一つになっている。もともとSP1000Mで使っていたのだけど、今は主にSE200で使っている。

 

mezeaudio.jp

1.はじめに

ハウジング部分は結構きれい。

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Rai Penta1

 

イヤピースはたくさん種類がある。純正だけでなくサードパーティーのものも含めて色々悩むのではないかと思う。この点については後で述べる(→3)。

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Rai Penta2

2.5mmバランスケーブルも一緒に入手。確か購入時に特典かなんかでもらえた。ケーブルの取り回しはかなり良い。絡みにくい。

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Rai Penta3

2.音質など

いわゆるドンシャリ系とは対照的であるのだけど、どのように表現したら良いのか難しい、不思議な音質である。ドンシャリと反対に高音や低音が抑えられているわけではない。他方で、よくあるフラットを目指した感じでもない。高音は高音で伸びるのだけど、シャリッとした感じはない。ただ、中〜高音が特にきれいに響くのは確かである。

全体的に無理のない、音域が変わってもきれいにつながった音で、解像度もあるのだけど、それを追求するわけでもない。高解像度がたまらない人にとっては物足りないかもしれない(筆者も最初はそう感じた)が、全く別のMezeらしい一つの音楽として聴けるようにするというコンセプトを感じる。ブロムシュテット・ベルリンフィルのブルックナー3番と、ハイティンク・ベルリンフィルのブルックナー4番を聴きながらこれを書いているが、弦楽器のテュッティがきれいに塊として聞こえてくる一方、管楽器のソロはポンと飛び出す。オケ全体でフォルテになる場合には、きちんと塊として聞こえてきて、上に乗っかってる楽器はそれはそれで飛び出すという感じである。

そのようなわけで、何を聴いても違和感がない。ただ、割と柔らかい感じの音質なので、DAPも柔らかいと全体として物足りないというか柔らかすぎるように感じるかもしれない。当初はSP1000MよりSE200の方が合うよねと思っていたのだけど、少し聴いてみると考えは逆転した。プレーヤーの個性とイヤホンの個性が互いに潰し合っているように感じたのである。実際、個性が強いもの同士の組合せではそうしたことも生じる。しかし、さらに聴き続けているとさらに少し評価が変わった。確かにどちらかというとSP1000Mの方が合っているかもしれないけど、SE200、特にESS側との相性は結構良いのではないかと感じている。元より生の音に近い感じではないのではあるが、

また、トータルでどのように聴かせるかというコンセプトなので、全体の情報量が多すぎるとちょっとモヤっと聞こえるかもしれない。反対に、ピアノだけとか、歌とピアノといった場合にはそうしたものは感じない。とはいえ、ブルックナーが魅力的に聞こえるくらいだから、マーラー8番あたりを聴かない限り別に構わない(第九はものによる)。割と得意なのはバイオリン協奏曲だなあと感じている。もっとも、意外なことに、シベリウスのバイオリン協奏曲の1楽章冒頭の(オケの)バイオリンのモヤモヤ、ザワッとした弱奏みたいなものは苦手なようである(録音によるのだけども)。

とにかくどの音もキツく聞こえることはなく、しかしオケ全体の強奏もきちんと響く不思議なイヤフォンである。音場は割と広く、横だけではなく、縦(奥行き)も十分に感じられる。ちゃんとした録音であれば、木管前列と金管は別の場所にあることが聞き取れる。

3.イヤピースについて

着け心地やフィット具合という問題がある一方で、Rai PentaというかMezeらしい音や空気感がイヤピースによって結構変わってしまうため、両者のトレードオフが悩ましい。実際、私自身もサードパーティーも含めて色々試したところ、半年以上経って、結局純正のものを使っていた。どうもRai Pentaの何ともいえないフンワリした感じや、2で述べた絶妙なバランスが崩れてしまうように感じたのである*1

のではあるが、最近はSenda Earfit XELASTECを使っている。写真はリンク先を見ていただければと足りるのだが、透明で少しネトッとしたというかモチッとした感じの素材である。別に糊で耳穴にひっつけようというのではなく、耳穴に入れると熱によって軟化して吸着するという仕組みらしい。ピタッとしたはまり具合は確かに素晴らしい。音質はややクリアというか鋭くなる傾向にあるようで、Rai Pentaとの関係では僅かに変化する感じであった。Rai Pentaの音や雰囲気を損なわず、しかし簡単に手に入ってしっかりと装着できるという点では今のところ他にない存在である。

なお、ノズルがでかいため、純正のイヤピースの穴が結構でかい。そのため、イヤピースによってはノズルに嵌めるのが大変なものもある。ついでに、清掃はちゃんとしなくちゃいけない。ウエットティッシュで足りるので、しょっちゅうやればよい。

4.ケーブルその他

上で触れたように、純正の2.5mmバランスケーブルを使っている。とても絡みにくく、取り回しは非常に良い。ちょっと困るのは、純正のイヤピースをなくしたりした場合に手に入らないという点。頼むぜ。

ケースはあまり高級感がないけど、必要十分という感じだろうか。個人的にはこれとN5005を持ち歩いている(両方合わせると、筆者が着ている服と鞄よりずっと高い)ので、あまりじゃらじゃらしたものはいらない。

*1:この時点では、4つくらい試したが、純正がベスト、次点がsenda earfitだった。