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何かしらの余録

AKG N5005(その3)

N5005のレビューは3回目。前回、前々回はこちら。

 

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装着感

デフォルトのイヤピース(下の写真黒い方:Mサイズはハウジングに最初から装着されている)を使うと、(個人的には)ちょうど良いところに装着するのはやや難しい、というかコツがいる。左耳はスッと入るのだが、右耳は耳穴の上側から入れていく感じにするときちんと入る。そうしないとなんだかスカっとした間隙が生じる感覚が残る。そして、きちんと装着しないと中音域がスカスカになってしまう。

デフォルトではなく、スピンフィットの方(写真の白い方)を使うとどうか。密着感はやや上がり、音は(特に高音域が)少し穏やかになる印象。どちらの音が良いかは、正直好みの範疇で、自分自身の好みに照らしても判断が難しい。

付属のもの以外にもイヤピースを注文してみたので、届いたら試してみる予定。

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イヤピースなど

ケーブルはハウジング付近が曲がっているので、耳にかけやすい。ワイヤーは入っていないようで、曲がっているとはいってもソフトである。N40とCN120で耳にかけるとポロッと落ちてくることもあったので、この点ではずいぶん良くなっている。

 

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本体

遮音性

遮音性はさほど高くない。街を歩いているのであれば問題はないし、新幹線程度であればまあ大丈夫だろう。しかし、地下鉄になると騒音が大きいand/or音が小さい部分ではちょっと聴きにくい。まあ遮音性があって良い音(かつある程度クラシックに向いている)というのであれば、Etymotic Research ER4SRかShure SE846あたりの方が合っているだろう(というわけで、筆者も引き続きバランス化したER4SRは使っている)。

迫力のある部分でしっかりと音圧がある分、音漏れはやや気になる。周りに迷惑をかけていないかと音量を下げたこと数回。

音量はとりやすいか?

ちらほらと音量が取りにくいという意見もみかけた。KANNを使っている限り、結構パワーがあるのでこれといって不便を感じることはない(まあ昔はER4S(Rがついていないやつ)だったし)。音量はゲインがHighで90-100ちょい、録音によっては120まで上げるがおおむね110には収まる。DP-X1Aで同じ曲をかけてみると、115-130で、最大140あたりまで上げたくなるものもある。Balancedで聴いてみたので、ACGならもう少し上げたくなるかもしれない。

付属品など

イヤピースが2種類付いているのはなかなかよい。またケーブルも元々3.5mmアンバランスはリモコン付のみだけど、日本モデルではリモコンなしもあるのは良い(リモコン付を嫌う人多いだろうし)。Bluetoothは余計なのではという意見もあるだろうが、外国(アメリカやヨーロッパの一部の国)に行くと日本よりもBluetoothを使っている人を見かける。そもそもポータブルで聴く際には音質は割り切って利便性を優先しているのかもしれない。いずれにせよマーケットは日本だけではないので、そこは仕方がない。筆者も普段はBluetoothを使わないので、N40につけてみる予定。うまく合えばN40をお蔵入りさせないでジムにでも持っていくのに使える。

総評

というわけで、3回も書いたが、トータルではかなり気に入っている。10万円前後あるいはもっと高いものも聴いてみたことはあるが、正直、これに勝てるものは少ない。

  • 良いところ:刺さらないが勢いのある高音、引き締まった低音、解像度と広い音場。
  • いまいちなところ:装着感。遮音性も高くないのでここに入れてもよいけど、高めると音が変わるだろうから仕方がないか。

N5005は、必ずしも「フラット」な音作りを志向しているわけではない。むしろ、イヤフォンによって音は変わるし、好きなように変えてくれ、基本性能は高いぞという方向性だろうか。K3003も含めてリケーブルやバランス化に必ずしも積極的ではなかったAKGだが(未だにヘッドフォンではK812は、そのままではバランス化できない)、N40あたりから、これらも含めてユーザーの自由度を高めている。そして、N40の欠点を全て補って、多少はK3003の流れも汲んで(本文に書いたとおり、基本的には方向性は同じではない)できあがったのがN5005という印象である。