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何かしらの余録

マーラー交響曲3番大人買い(その2)

さて、マーラー3番大人買いの続きです。今回はややつまらないなと感じたものも出てくる。

 

6. Seiji Ozawa & Boston Symphony Orchestra 3

 
全体的に透明感はあるが、あまり印象的ではない。キレイだが存在感はない点で小澤・ボストンらしい演奏ではある。個別にみると、6楽章を中心に金管の音は美しい。その後、K812で聴きなおしてみると、もう少し味があって繊細さも感じられた。気もする。気もするだけで基本的には変わらない。

 

7. Gabriel Feltz & Stuttgarter Philharmoniker 3.5

こういっては何だが、今回の中で掘り出し物の1つ。全体では3.5か4か評価にやや迷った。美音系ではあるが、しっかりとダイナミックな感じが維持されている。

1楽章は、出だしの迫力が素敵で、打楽器がずっと張り切っている。13分頃からアッチェルダントがかかるのも勢いがあってよいのだが、その後に溜めるのはちょっと。全体的によくテンポを揺らしており、速めるところは説得力が高いが緩めるところは微妙なものもある。

2・3楽章は快活で健全な夏という感じ。特に3楽章は、ポストホルンのソロの後に盛り上がるところで、さわやかに弾けているのが若々しい。特筆すべきは、5楽章。鐘の音が素晴らしく、児童合唱のハーモニーがとてもきれい。

8.Markus Stenz & Gürzenich-Orchester Köln 4.5


こちらも今回の掘り出し物。特に良かった。1楽章から緊迫感と張りがあり、ビシッとした良い演奏。6楽章も素晴らしい。François-Xavier Rothの振った録音も結構評価が高かった(特にマーラー3番)けど、やっぱりこのオケうまいわ。ビシッと統制されていながら、思い切りよく演奏している。すごく気持ちよい演奏。

個別には、2楽章は快速でバランスが良く、6楽章のコラールが堂々と歌い上げる感じでよい。しずかーにそろっとやるのとは対照的。なお、Rothの3番も大変にお勧め。

 9.Esa-Pekka Salonen & Los Angels Philharmonic 3

いかにも美音系の演奏。さすがLAPだけあって金管はなかなかうまい。全体的に滑らかだが、1楽章の終わりなど、「ここ」と決めたところはダイナミックに。ただまあ全体的にはややつまらない。「ここ」というところ以外が、キレイだけどやや張りに欠ける。聴きなおしてみたところ、3楽章のポストホルンの最初のソロの後、弦楽器の対位法的な絡みが左右から聞こえているところに、真ん中からトランペットが聞こえてくるという形で曲の構造をうまく活かした演奏になっているなど、細かく考えてはいる。とはいえ、細かい工夫以上に大ぐくりなところが大事な曲じゃないかなと感じる一枚。

10.Zubin Mehta & Los Angels Philharmonic 4.5


最初に聴いた際には、24bit/176.4kHzなのに、リマスタリングがあまり良くないのかな?録音が微妙だなと感じた。聴きなおしてみるとそうでもないのだけど、ハイレゾというほどでもなく。

演奏の方はというと、冒頭のホルンはなんか妙に柔らかいのだが、Mehtaの他の録音も同様なので彼の方針なのだろう。最初にあれ?と感じたものの、1楽章の続く部分の躍動感、3楽章のキラッとした美しさ、そして6楽章のコラール部分の異様なまでの美しさと併せて素晴らしい演奏(Amazonのレビューで激賞しているのがあったけど、よく分かる)。同じLAPでもSalonenよりずっとよい。なお、2楽章がやや暑苦しいのはご愛嬌。Mehtaが暑苦しくなくてどうする。

私が聴いたのは1番とセットになったやつではなかったのだけど、3番は同じ録音で、こちらの方が手に入りやすいので、セットのものを貼っておいた。
さて、今回買ったものではないけど、Mehtaええやんけと、Mehta & Bayerische Rundfunkを聴きなおすとものすごくよい(これは間違いなく5点満点だ)。なんでこれまで気づいてなかったのだろう。ぼんやり聴いてたのかな、申し訳ない。