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何かしらの余録

マーラー交響曲3番大人買い(その1)

ステイホームだからというわけではないが(元々、引きこもって仕事してるのだ)、コンサートにも行けないし、CD屋に行くのも億劫なので配信や通販で色々と音源を買っている。6月・7月は、なんとなく夏だしマーラー3番を聴いていたところ、既に持っているメジャーなもの以外にどんな演奏があるのだろうと気になって、大人買いに走ってしまった。

どちらかというとマイナーな演奏も恐れずに買い、これはネタじゃないかというものも買ってみた。結論からいうと、比較的新しい録音にはネタのような演奏・グズグズな演奏はなかった。崩壊していても楽しいというものもないが、マーラー3番に限っていえば、そもそも崩壊して楽しくなる曲でもない。技量の低いオケだと、ただただ哀しくなるだけだ。

 

さてその中から何枚かご紹介。タイトル横の数字は5点満点の評価。あくまでも主観的でしかないものです。

1.Leif Seegerstam & Danish National Radio Symphony Orchestra & Choir 3

かなりダイナミックな演奏・・・と思ったが2回目に聴いてみると1楽章はそうした印象も特にない(なぜだろう)。特に最終楽章の盛り上がりが特に見事だが、最後の最後はちょっと崩れている感じ。ラッパのHはギリギリな感じもする。録音の音質はやや微妙なところもある。

個別の楽章では、3楽章のポストホルンが適度な「遠さ」で心地よいのと、4楽章が深さの感じられる演奏で特筆すべきもの。全体的に遠近がうまく表現されているというべきか。時々、和音やポリフォニーの中で他の演奏とは違う音を強調していて面白い。

 

2.Semyon Bychkov & WDR Sinfonie-Orchester Köln 3.5

 なんだねこのCDの値段はというのはさておき、Presto Classicalでも買えるし、Amazon Music HDでも確か収録されていたはずなので、そちらもぜひ。

硬いドイツらしい金管がバリバリと遠慮なく鳴らしつつ、ざっくざくと進む演奏。ホルンはやや硬すぎかもしれないが、木管の高音も硬くてよい。特にクラリネットの音色は独特で、2楽章・3楽章によく合っている。ただし、1楽章では木管の高音部がやや遅れるところがある。Seegestamより好きだなあと思うが、このあたりは好みによるところが大きい。なお、1楽章のトロンボーンはソロもそれ以外も非常によい。3楽章のポストホルンのソロは、ふくよかな音色で歌い上げていて素晴らしい。4楽章でホルンが割と目立つ。これもアリかもしれない。

3.Neeme Järvi & Royal Scotish Orchestra 4

Bychkovが3.5でNeemeが4って変態か?といわれれ、変態だが文句あるかといわざるを得ない。1楽章の冒頭がものすごく、氷河でも崩れてくるのかって感じ。第2主題以降もしばらくすさまじい。2楽章になるとロシアな感じはなりを潜める。3楽章のポストホルンはフリューゲルホルンかな?と思わせる、ややブラスっぽいビブラートのかかった音色。6楽章は基本的に繊細なのだけど、終わりが何かぶつ、ぶつと途切れるような演奏。ここだけ残念。最初はキレイなジャイアンのようなキレイなロシア風かと思いきや、もっと繊細だった。


4. Johnathan Nott & Bamberger Symphoniker 3.5

1楽章は、堅めの金管の音が雰囲気に良くあっている。特に、ドイツ管のトロンボーンが素晴らしい。ただ、全体的にちょっとトランペットがショボイのは否定できない。まあトロンボーンにとっては一世一代の大仕事だからねえ。

個別に見ると、3楽章のポストホルンが豊かでふくよかな音色でのびのびと吹いており、とてもよい。首席はポストホルン吹いててラッパはお留守なんかな。5・6楽章は、とても繊細で優しい音。6楽章のコラールの後に、Esクラリネットが飛び込んでくるのもよい。

 

5.Emil Tabakov & Sofia Philharmonic Orchestra 3

1楽章を筆頭に何かロシア風な演奏で、キレイなジャイアンならぬキレイなロシア風はBychkovでもNeemeでもなくこれでした。ロシアではなくブルガリアのオケなんだけど。全体としては3といわざるを得ないのだが、不思議な魅力のある演奏。6楽章に限った話ではないのだが、特に6楽章の金管の和音が素晴らしくきれい。トランペット1番が強すぎないせいか、2番以下が十分に強いからか、バランスが見事。これは割と珍しい。

個別にみると、3楽章のポストホルンはトランペットかコルネットかはたまた本物のポストホルンかよく分からない音色だが、何より舞台裏に聞こえない。