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何かしらの余録

SP1000Mレビュー(その2)

前回はこちら。今回は大きさ、UI、その他の使い勝手などについて。

 

yorokuyadoroku.hatenablog.com

 4.大きさ

前回も触れたとおり、SP1000MはW67.9×H117×D16.9(mm)、203gとかなり小型・計量である。iPhone XがW70.9×H143.6×D7.7(mm)、174gなので*1、一回り小さく、かなり分厚いスマホのような感じである。手持ちのDP-X1A(W75.9×H129.0×D12.7mm、205g)*2と比べてみると、以下のように少し小さい。

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DP-X1A(左)とSP1000M(右)

ちなみに、SP1000Mの約2ヶ月後に発売されたCOWONのフラッグシップPlenue Lもほぼ同じサイズ(W67.9×H119.1×D16.5(mm)、199g)*3、Cayin N8がW70×H128×D21(mm)、380g

*4

、LotooのPAW Gold TouchがW68.6×H119×D21(mm)、311g*5と大きさはさほど変わらず、やや分厚く、重めとなっており、重さはアンプやバッテリーなどで結構変わるが、大きさはある程度揃ってきた感じである。

この時期なのでシャツのポケットのほかに、コートの内ポケットに入れてみると、DP-X1Aなどと比べた「少し」の差は結構大きい(夏場はポケットの数が減るので余計に大きい)。相変わらずスマホほど薄くなっていないものの、サイズとしてはポータブルとして実用的なものになってきたといえるだろう。重さも200gくらいであればケースをつけたスマホくらいなので十分である。

5.UIなど

5.1ソフトウエア周り

UIは引き続きAK独自のもので、慣れていれば戸惑うことはない。KANNと比べると、「フォルダ」にアクセスすると、内部ストレージとmicro SDの使用容量がグラフで表示される(以前は単にディレクトリが表示されるだけ)。細かいが改善点だろう。

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フォルダ画面

UIの動作はキビキビしていてストレスはない。また、スキャン速度も結構早い。上記の写真より少し少ないデータで使用を始めたが、最初のスキャンに少し時間がかかったくらいで、その後は特にストレスを感じることはない。

再生中などは画面にフローティングの「戻る」ボタンが表示される。これはこれで便利なのだが、一体どこに「戻る」のかイマイチ基準が分からない。個人的には、再生中のファイルが含まれているディレクトリに行ってほしいのだが、そうなるときもあれば、もっと前の画面に戻ることもある。

5.2ボリュームホイール、本体キー

ボリュームホイールは操作しやすい。本体から僅かに出っ張っているだけなので、ポケットに入れていても誤作動することがない。他方、ポケットに手を突っ込んで(本体を取り出さず)、音量を上げ下げすることも一応できる。本体を出し入れすると落とす可能性があるので、こうでなくては困る。

やや微妙なのが本体の左横に付いた本体キーである。以下はケースをつけた状態の本体キー部分。

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SP1000M本体キー

説明書によれば、上から順に「前/巻き戻し」「再生/一時停止」「次へ/早送り」である。説明書を読む前からそうだろうなと思って、再生中の音楽を止めるために真ん中のキーを押してみると、なんと次の曲(楽章)に。あれ?と思って次に試すと曲の冒頭に戻る。これが何のキーなのか分からなくなり、説明書で確認した上で、非常に注意深く真上から真ん中のキーを押すと、確かに一時停止。本体キーの感覚が狭いからなのか、ケースの設計の問題なのか、ケース上からだと真ん中のキーが誤作動することがあるようだ。

これだけであれば使わなければよい。しかし、どうやらボリュームホイールはロックできるが、本体キーはロックできないようである。そのため、ポケットに入れる、出す際に、第9の3楽章のファンファーレが来るなと思っていたら4楽章のファンファーレが始まった、といったことが時々起きる。これは困るのでどうにかしてほしいなあ。

6.その他の使い勝手:バッテリーなど

総じて使い勝手は良い。ポータブルで良い音質で、使い勝手良くという購入目標は達成できている。いくつかの項目に分けてみてみよう。

6.1バッテリー

SP1000Mは、SP1000と比べてバッテリー容量が少し小さい*6。SP1000は3700mAh/3.7Vなのに対して、SP1000Mは3300mAh/3.7Vで、公称の連続稼働時間はそれぞれ12時間、10時間である。

公称どおりであれば1時間に10%ずつ減っていく感じであるが、実際のところはどうか。測定条件どおりの条件で使うことは考えにくい*7が、1時間に10%より少し大きく減る。具体的には、音源のスペックや音量により、10%から最大15%という感じで、平均するとおおむね11-12%程度だろうか。一割違うと測定としてはずぶずぶだが、実用上は8〜9時間程度は充電なしで使えますよということなので、まあまあ許容範囲である。実際、通勤+αくらいであれば2、3日充電しなくてもなんとかなるという感じで使っている。KANNのバッテリーが6200mAh/3.7Vと巨大なので*8、最初のうちは減る速さに驚いたが、KANNが異様なのであって、Plenue Lあたりと比べても*9SP1000Mが特に弱いわけではない。

なお、USB-C→Aの変換ケーブル(付属のもの)を使ってパソコンにつなぐと、もちろん充電できるのであるが、ファイル転送を行っていると、消費>充電となってゆるやかにバッテリー残量が減っていくあたりは要注意。

6.2 micro SD関連

Micro SD関連は色々と懸念があったのだが、大した問題は起きていない。現在はSandiskの400GBを入れている。最初の方に、SP1000MをMacにつないで音楽データを転送してからusbケーブルを外した直後にmicro SDを読み込めない症状が2回ほど出た(再起動すればなおった)。しかし、最新のアップデートの影響なのか、その後はこうした症状は出ない。

また、一度(適切に)外したカードを再度挿すと「破損している」旨が表示されるとか、実際にデータの一部が欠けてしまうなど、AKの色々な機種は(micro)SDカード周りのトラブルがあった(私もKANNで何度も経験した)。頻繁にmicro SDを抜き差しするわけではないが、今のところSP1000Mではこの手のトラブルに遭遇していない。

AKに限らず、Andoroidベースのプレーヤー(スマホも同様だが)は、MacとのMTPモードでの接続がうまくいかないことが多くあった(何度かケーブルを抜き差ししているうちにやっとどうにかなる)。しかし、SP1000Mでは今までのところ、どのMacでも一発で認識される*10。ただし、USB-Cを採用しているにもかかわらず、USB2.0しか使えず、転送速度は相変わらず遅い。急速充電には対応しているものの、これではせっかくtype-Cを採用している意味が半減してしまう。このあたりのiriverの保守性はよく分からん。

※2019/01/11追記

USB3.0については、iriverのウエブサイトでは「USB3.0(Type-C)をサポート。急速充電、高速データ転送に対応」と記載されているのに対して、マニュアル8頁では、「Windows と MAC のどちらでも、本製品は USB 2.0 でのみ動作します。」と書かれている。Macにつないでみると、USB2.0で認識されていた。転送速度をみれば体感的にも分かるのではあるが。

これに関連して、USB3.0のハブを使う場合、ハブによってうまく認識されたりされなかったりすることがあるようだ。手持ちのものではAnkerのUSB3.0対応ハブでは毎回きちんと(2.0で)認識されている。

6.3ケース

ケースの質感は良く、手触りも良い。滑りやすい素材でもないので、外出先でも安心して使えるのは嬉しい。細かい問題ではあるが、ケースによってmicro SDカードのスロットが覆われてしまうので、カードを入れ替えるにはケースを外す必要がある。そして、引っかかりのないデザインで、かつ、ピタッと本体に密着するサイズなので、ケースを外すのはちょっとした手間である。もちろん、iriverはケースの外し方を懇切丁寧に説明書に書いてくれるような企業ではない。USBケーブル用の穴からとがっていないもので押し出すのが一番楽だろうか。そんなわけで、micro SDを外出先でとっかえひっかえという使い方はちょっと厳しい。サードパーティーのケースが出たら別かもしれないけど。

今回はこのあたりで。次回は音質など。

*1:Xs, XsMax, XRはもう少しずつ大きく、重い。例えば、製品の仕様 | iPhone | NTTドコモ参照

*2:オーディオ&ビジュアル製品情報:ヘッドホン>DP-X1A|オンキヨー株式会社

*3:[ Welcome to COWONJAPAN.com ]

*4:CAYIN N8|KOPEK JAPAN

*5:PAW Gold TOUCH 詳細 | Lotoo JP

*6:小型化に伴った必然的なものか、SP1000と差をつけるためなのかはともかく。400mAhしか差がないし、最近のバッテリーの小型化を考えると後者じゃねえかなあとも。

*7:ちなみに、iriverの測定条件は「ボリューム75, EQオフ, 画面オフの場合」である(https://www.iriver.jp/products/product_176.php#2)。どんだけインピーダンス低いイヤフォンor音圧上げた音源やねん。

*8:KANN|iriver Japan

*9:3050mAh/3.7Vで、24bit/96kHzのflacで連続再生時間8.5時間。http://www.cowonjapan.com/product_wide/PLENUEL/product_page_4.php

*10:なお、私はAndoroid File Transferというクソアプリは使わず、Commander Oneというものを使っている。