第九聴き比べ(その1)

1.はじめに

先日、あるところでベートーヴェンの交響曲9番がかかっていて、ついつい聴いていた。いくつか特徴のある演奏だった(割とブーミーなティンパニ、硬い金管の音、4楽章のファンファーレのトランペット改変など)が、誰・どのオケの演奏か、これまでに聴いたことがあるのか判然としなかった。はて、CDやデータ(最近はデータで買ってばかり)を集めていて、聴いていたはずなのだが、聴いている気になっていただけだったのではないか。そう思って、持っているものを全てDAPに放り込んで聴き比べてみることにした。

 

聞き比べる順は特に決めていないが、同じ指揮者で複数の録音があることも多いので、指揮者ごとにまとめて聴いてみることにした。なお、聴き比べのお供はスコアと、ハインリヒ・シェンカー(西田紘子・沼口隆〔訳〕)『ベートーヴェンの第9交響曲ー分析・演奏・文献』(音楽之友社、2010)〔原著1912年〕*1

ベートーヴェンの第9交響曲 分析・演奏・文献

ベートーヴェンの第9交響曲 分析・演奏・文献

 

 

2.カラヤン

2.1序

ベタではあるが、まずはカラヤンから。個人的にはとりたててカラヤンが好きなわけではない*2。ただ、世の中で最も有名なものの1つではあろうし、録音もたくさんあるのでここから始めるのも悪くなかろう。

下で述べるもののほかにも私が知っているだけで、3つの録音がある。特に1958年のNYP盤は聴いてみたいので、近々入手したい。

  • 1947年:Herbert Von Karajan, Wiener Philharmoniker & Wiener Singverein. Elisabeth Schwarzkopf, Elisabeth Höngen, Julius Patzak & Hans Hotter
  • 1954年:Herbert von Karajan, Orchestra Sinfonica Rai Roma. Teresa Stich Randall, Hilde Rössel-Majdan, Waldemar Kmentt & Gottlob Frick
  • 1958年:Herbert von Karajan, New York Philharmonic & Westminster Choir. Leontyne Price, Maureen Forrester, Leopold Simoneau & Norman Scott.

2.2聴き比べレビュー

1955年:Herbert von Karajan,  Vienna Symphony Orchestra & Wiener Singverein. Lisa Della Casa, Hilde Rössel-Majdan, Waldemar Kmentt & Otto Edelmann

モノラルにしては録音は割とよい。ノイズも乗っているが、聴いているうちに意外と気にならなくなった。演奏面では、3楽章が過剰に耽美的でもなく、テンポも遅すぎないがきちんと歌っている良いものであった。4楽章の器楽のみの部分の盛り上がり具合がよい。声楽が入るところでは、ソロは近いけど合唱が妙に遠く聞える。

1955年:Herbert von Karajan, Philharmonia Orchestra & Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde. Elisabeth Schwarzkopf, Marga Hoffgen, Ernst Haefliger & Otto Edelmann

 リマスタリングされて24bit/96kHzになった全集。第9はステレオのexperimental recording版とモノラル版の両方が入っていた。モノラルで聴いたら「お、割とよい」と思ったのだが、ステレオで聴くと「あれ?なんだか微妙だな」と感じたので、やっぱりexperimentalだった模様。テンポは小気味よく、若い頃のカラヤンらしいのだが、さほど面白さはない。この路線なら1962年のベルリンフィル盤の方が録音も含めて良いのではないだろうか。

1962年:Herbert von Karajan, Berliner Philharmoniker & Wiener Singverein. Gundula Janowitz, Hilde Rössel-Majdan, Waldemar Kmentt & Walter Berry.

こちらもリマスタリングされて24bit/96kHzになった全集より。第九はCDも持っていたけど、音質はリマスタリング後の方がよい。ただし、ちょっと高音強めでシャリっとしている。演奏面では、全体的に激しさと勢いを感じる(カラヤンのレコーディングで破綻しないギリギリかもしれない)。特に1楽章が嵐のようで良い。4楽章の声楽が入るまでは割とバランスがよい。

1976年:Herbert von Karajan, Berliner Philharmoniker & Wiener Singverein. Anna Tomowa-Sintow, Agnes Baltsa, Peter Schreier & José van Dam.

録音はまあまあ。演奏はかなり整っていて、逆にいえば一番人工的な感じのする録音。ある意味、カラヤンがレコーディングで何を目指しているのか分かるような気がする。4楽章のトルコ風行進曲の部分の2番トランペットが妙に柔らかい。なぜに。

1979年:Herbert von Karajan, Berliner Philharmoniker & Wiener Singverein. Anna Tomowa-Sintow; Ruza Baldani; Peter Schreier & José van Dam. 

録音とホールがあまりよくない(なぜか重低音だけはいい感じで入っている)。演奏としてはレコーディングと異なる緊張感とパワーのあるものになっていて、ズレそうになるスリルも含めてなかなか楽しめる。4楽章の器楽部分のトランペットの主旋律がとてもきれいに目立っている。このあたりのバランスもレコーディングと生演奏(とはいっても修正なしではないかもしれないが)で異なるのだろう。日本公演の録音はもう1つあるみたいだが未確認。

1983年:Herbert von Karajan, Berliner Philharmoniker & Wiener Singverein. Janet Perry, Helmut Froschauer, Vinson Cole, Agnes Baltsa, José van Dam.

さすがに録音がキレイで、古いものから順に聴くと技術の進化を感じる。小学生くらいの頃に初めて買った第九のCDと同じ演奏。聞き慣れているせいか、これが割と標準になっている。激しくて破綻するところも、無理もない演奏。ただし、この時期の(というかごく若い頃以外おおむね?)カラヤンらしい雑さはみられる*3。1楽章は62年のものくらい激しくてもいいような気がして、やや物足りない。3楽章の中盤のトランペット・ホルン、ffになるところが明確でかっこいい。4楽章器楽部分の最初のコントラバス・チェロは結構速い。器楽部分の最も盛り上がる部分は、トランペットと他の楽器のバランスも含めてこれが一番よいかもしれない。どういうわけか、Seid um schulgenの部分のトランペットが緩い音に。

2.3 総評

こうして聴き比べると(他の指揮者のも既に聴いている)、いくつかのことが分かった。

第1に、カラヤンはあまり交通整理をしておらず、各パート(というよりも、同じ動きをしているパートの集まり)の音がどかっと入っている(極端に抑えられているものがない)。ゴチャゴチャした感じに聞こえることもあるが、色々と整理されすぎた上澄みのような第九よりは良いかもしれない。

第2に、第1点と関連して、パート間のバランスや強調するポイントなどは、録音間であまり共通していない。

第3に、テンポは若い頃の方が速いが後年になっても極端に遅くなるわけではない。

第4に、カラヤン微妙だと思っていたが、見直した(聴き直した?なんか意味が違うな)。第1・第2点が独特の激しさやダイナミクスを生み出しており、第九くらいではギリギリ破綻しない演奏が可能なんだなあと感じたところ。

最後に、どれが一番良かったかというと、全体的としては1962年のベルリン・フィルとの録音だと思っている。割とうまくキマったトランペットも含め、1983年のものも良いと思うのだが、全体的にやや緩さを感じる。1962年の方が一気呵成とでもいうべき勢いを感じるのである。

*1:翻訳者らの素晴らしい解説もあり、この本だけで何か記事を書きたいくらいに面白かった。

*2:むしろブルックナーとかでは雑だなあと。それはそれで魅力もあるが

*3:例えば、1楽章の終わり(a tempoで音量が落ちるすぐ前くらい)でズレそうになったり、2楽章のティンパニの八分音符がぼやけたり

AKG N5005(その3)

N5005のレビューは3回目。前回、前々回はこちら。

 

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装着感

デフォルトのイヤピース(下の写真黒い方:Mサイズはハウジングに最初から装着されている)を使うと、(個人的には)ちょうど良いところに装着するのはやや難しい、というかコツがいる。左耳はスッと入るのだが、右耳は耳穴の上側から入れていく感じにするときちんと入る。そうしないとなんだかスカっとした間隙が生じる感覚が残る。そして、きちんと装着しないと中音域がスカスカになってしまう。

デフォルトではなく、スピンフィットの方(写真の白い方)を使うとどうか。密着感はやや上がり、音は(特に高音域が)少し穏やかになる印象。どちらの音が良いかは、正直好みの範疇で、自分自身の好みに照らしても判断が難しい。

付属のもの以外にもイヤピースを注文してみたので、届いたら試してみる予定。

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イヤピースなど

ケーブルはハウジング付近が曲がっているので、耳にかけやすい。ワイヤーは入っていないようで、曲がっているとはいってもソフトである。N40とCN120で耳にかけるとポロッと落ちてくることもあったので、この点ではずいぶん良くなっている。

 

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本体

遮音性

遮音性はさほど高くない。街を歩いているのであれば問題はないし、新幹線程度であればまあ大丈夫だろう。しかし、地下鉄になると騒音が大きいand/or音が小さい部分ではちょっと聴きにくい。まあ遮音性があって良い音(かつある程度クラシックに向いている)というのであれば、Etymotic Research ER4SRかShure SE846あたりの方が合っているだろう(というわけで、筆者も引き続きバランス化したER4SRは使っている)。

迫力のある部分でしっかりと音圧がある分、音漏れはやや気になる。周りに迷惑をかけていないかと音量を下げたこと数回。

音量はとりやすいか?

ちらほらと音量が取りにくいという意見もみかけた。KANNを使っている限り、結構パワーがあるのでこれといって不便を感じることはない(まあ昔はER4S(Rがついていないやつ)だったし)。音量はゲインがHighで90-100ちょい、録音によっては120まで上げるがおおむね110には収まる。DP-X1Aで同じ曲をかけてみると、115-130で、最大140あたりまで上げたくなるものもある。Balancedで聴いてみたので、ACGならもう少し上げたくなるかもしれない。

付属品など

イヤピースが2種類付いているのはなかなかよい。またケーブルも元々3.5mmアンバランスはリモコン付のみだけど、日本モデルではリモコンなしもあるのは良い(リモコン付を嫌う人多いだろうし)。Bluetoothは余計なのではという意見もあるだろうが、外国(アメリカやヨーロッパの一部の国)に行くと日本よりもBluetoothを使っている人を見かける。そもそもポータブルで聴く際には音質は割り切って利便性を優先しているのかもしれない。いずれにせよマーケットは日本だけではないので、そこは仕方がない。筆者も普段はBluetoothを使わないので、N40につけてみる予定。うまく合えばN40をお蔵入りさせないでジムにでも持っていくのに使える。

総評

というわけで、3回も書いたが、トータルではかなり気に入っている。10万円前後あるいはもっと高いものも聴いてみたことはあるが、正直、これに勝てるものは少ない。

  • 良いところ:刺さらないが勢いのある高音、引き締まった低音、解像度と広い音場。
  • いまいちなところ:装着感。遮音性も高くないのでここに入れてもよいけど、高めると音が変わるだろうから仕方がないか。

N5005は、必ずしも「フラット」な音作りを志向しているわけではない。むしろ、イヤフォンによって音は変わるし、好きなように変えてくれ、基本性能は高いぞという方向性だろうか。K3003も含めてリケーブルやバランス化に必ずしも積極的ではなかったAKGだが(未だにヘッドフォンではK812は、そのままではバランス化できない)、N40あたりから、これらも含めてユーザーの自由度を高めている。そして、N40の欠点を全て補って、多少はK3003の流れも汲んで(本文に書いたとおり、基本的には方向性は同じではない)できあがったのがN5005という印象である。

AKG N5005(その2)

音質その2

N5005のレビューその2。前回は、仰々しい箱を中心とした外装と付属品などの紹介から、音質についてファーストインプレッションを書き殴った。

 

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今回はもう少し(時間的な意味で)落ち着いて聴いてみた結果も踏まえて書いてみよう。

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KANNでとりあえず色々と聴いてみる

Mutterのチャイコフスキー・バイオリン協奏曲は、演奏も録音もよいので、よく聞こえて当たり前。つややかさをどれだけ出せるか・バイオリンソロの部分が狭くてやせっぽっちにならないかどうか。N40ではイマイチ、イヤフォンではないけどMEZEの方がよかった。N5005はこのあたりがうまく、煌びやかさは強くないけども、高音がしっかりとしたつやっとして音。これ以上高音が強くなったらきつく感じるという寸前でとまっているなと感じることがしばしば。

期待を超えて良かったのが、ラトル・ベルリンフィルの「展覧会の絵」。良い演奏のはずなのに、プレーヤー・アンプ・イヤフォン(ヘッドフォン)の組合わせによっては、平板でつまらなく聞こえることもある。N5005で聴くと、特に打楽器が入ったときの引き締まった低音と、金管楽器の実に様々な音色を繊細に表現してくれる。

N5005の性能に驚いたのもう1つの演奏は、バーンスタイン・NYPのマーラー2番。5楽章ではややキツメでえげつなく強烈な金管楽器群のフォルテを音圧は高いが、破綻せずに表現していた。圧巻だったのは終わりの部分。N5005は特にバランス化するとイヤフォンとは思えないほど音場が広く、合唱がとても映える。ソロが重なる部分もごちゃっとした感じではなく、きれいに聞き分けられる。そして、オルガンが加わると引き締まった豊かな低音が腹の底に響く。これには正直驚いた。 

音の特徴まとめ 

ダラダラ書き続けても仕方がないので、そろそろ音の特徴をまとめる。フィルターはReferenceを使用。

  • 高音域:クラシックには向いた高音がしっかりと聞こえるイヤフォン。キラキラした感じはさほどない。鋭い感じもあるが、N40のように刺さる・歪むことはなく、ギリギリをついている。録音・好みによってはイヤピースand/orフィルターを変えた方が心地よいのかもしれない。試聴した限りでは、リマスタリングされたバーンスタインのコープランド・ロデオではややきつく感じた。
  • 中音域:中音域は特に音場の広さを感じる。さほど「強い」という感じはしない。イヤピースとの相性あるいは装着の仕方によっては薄くなってしまい、スカスカに聞こえるので注意が必要かもしれない。
  • 低音域:ぼわつくことが全くない、引き締まった豊かな低音である。個人的には非常に好みで、オケが引き立つ低音で、なるほどクラシックを聴くのにも低音の性能は大事だなと(当たり前のことを)実感した。オルガンの音はぜひ聴いてみてほしいくらい。
  • 音場:広い。両耳の斜め後ろくらいまで広がっている感じ(すごいヘッドフォンだとさらに後ろまで広がる感じがする)。これはNシリーズよりもK3003に近いのかもしれない。
  • その他:迫力のあるはずの場面では、しっかりと音圧があるのがよい。

今回はこのあたりで。最後は装着性、使い勝手、遮音性などに触れよう。

 

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AKG N5005

はじめに

日本では本日発売のAKG N5005、買ってしまったぜ…レビューでもしようか。

akg.harman-japan.co.jp

 

少し前から10万前後で良いイヤホンを探しており、ネット上の評判や試聴の結果ではBeyerdynamic Xelento RemoteかShure SE846がよさげだなと思っていたところ、これが出ると知って試聴もせずに夜中にぽちっと。現時点での結論からいうと、全く後悔していないどころか、比較対象のものより好み。

 

外装など

仰々しく開封の儀などとやるのはあまり好みではないのだけど、仰々しい3重の箱を。

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1つめ。この外側にも外装があった。

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上から順に2つめとようやく箱本体。これを開けると、

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こんな感じで本体の上に薄い板。これをとると、

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じゃじゃーん。本体、ケース、メカニカル・チューニング・フィルターです。箱は二層になっていて、左右のヒモをひっぱってこれを開けると、

 

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イヤーピース、ケーブルなどが出てくる。ケーブルは左からBluetooth充電用USBケーブル、3.5mmアンバランス(リモコン付)、2.5mmバランス、Bluetoothの順になっている。

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なお、日本版ではこのほかに、N40などで使われている3.5mmアンバランス(リモコンなし)もついてくる。リモコンいらんって人にもいいですわな。

本体と2.5mmバランスケーブルをつなぐと、

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こんな感じ。CN120とは違ってツイストになっている。ハウジングの付近をみると分かるように、最初から耳にかけやすく曲がっている。

音質その1

とりあえず、初期設定のまま(フィルターはReference、イヤピースは黒の中サイズ)+2.5mmバランスでKANNにつないでいくつか聴いてみた。詳細は続きででも書くが、一発目からアタリだ!と思わせる音。

解像度は高く、高音から低音までキレイに出る。K3003よりもN40の系統の音ではあるが、N40でやや気になった低音がボワっとする(Reference)、あるいは一番高いあたりの高音がやや尖った感じで歪んで聞こえるといったことはない。MTT/SFOのマーラー1番やGilbert/NYPのブルックナー3番を聴いてみたところ、低音は引き締まっていて(マーラー1番4楽章冒頭のドン!という感じが迫力が感じられる)、金管楽器がバリバリ頑張るところが実にダイナミックである。なぜかいつも基準にしている曲の1つであるPogorelich/Abbado/CSOのショパンのピアノ協奏曲2番1楽章も聴いてみると、ピアノが尖ることも埋もれることもなく自然に浮き上がってくる。高音はフィルターがReferenceで尖る寸前のところで止めている感じなので、より高音よりのものにしたらどうなるのだろう。High boostとReferenceの間にMD high boostを作ったのもなんとなく分かる。

ちょっと驚いたのは、Brilliantから出ているKissinコレクション中のショパンピアノ協奏曲1番だった(CD→flac, 16bit/44.1kHZ)。これは演奏は実に素晴らしいのだけど、録音(なのかマスタリングなのかよく分からんけど)が微妙で、イヤホンだと低音中心に(特に弦楽器の)くぐもって聞こえるか、全体的に妙にキンキン尖ってしまうことが多い。しかし、全く破綻なく、美しく聴かせてくれる(しかし、実演を聴いた人はもっとうらやましい)。これは実に色々なセッティングで試してチューンナップしたのだろうなと思わせる。古い微妙な録音もうまくこなす、というのはあまり意識していなかった。

 

と今回はこのあたりで。続きは下に。

 

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Astell&Kann KANN追記その2ーAKG N40

KANNとの相性がイマイチだなあと思っていたN40で色々と試してみた。その結果、なかなかよい感じに。やったことは主に2つ。

  • ケーブルは純正のバランスケーブルであるCN120-2.5

    akg.harman-japan.co.jp

    に戻した。このケーブル、ER4SRなどでも試してみたところ、引き締まった良い音で、特に中高音に強い。これを他の同じ値段くらいのケーブルに替えてもより良い相性のものは未だに見つからない。
  • N40のフィルター(メカニカル・チューニング・フィルタ)をReferenceからHigh Boostに替えた。KANNは録音によっては低音がぼわっとするというのは先日の記事のとおり。フィルタを替えるとずいぶん印象が変わる。

というわけで、ダメかなーと思ったN40も割と良い感じに。バランス化したER4SRに勝てるかというと・・・だけども(笑)

Astell&Kann KANN追記

先日レビューしたKANN、イヤフォン・ヘッドフォン(の主にインピーダンス)によってアンプのnormal/highを使い分けていた。モードをどちらにするかで、当然、どこまで音量がとれるかが変わる。当初は、それだけ考えて使い分けていた。すなわち、バッテリーの持ちも考えて、normalですむならすませていた。

その結果、normalでMeze 99 Classicsを使っている際に、音量は十分にとれる(音量100くらいで十分)し良い音なんだけど、どうもER4SR(highで使っていた)と比べて音の「密度」が足らんなあ、こんなこと初めてなんだけど…と感じていた。

で、99 Classicsをhighモードで(かつ、音量をnormalに比べてだいぶ落として同じくらいにして)聴いてみるとあら不思議。音量の問題ではなく、高音(特にきつめの部分)の密度と低音の引き締まり具合がだいぶ違うではないですか。

オーディオに特に詳しくなかったので気づかなかったが、これは当然のことかもしれない。要は音量をとるには十分でもアンプを挟むことはあるし、その際に変わるのは味付けだけじゃない。KANNの場合、高性能アンプが一体になっているわけで、highにするとその能力が全開になるということなのかもしれない。

Astell&Kann KANN

1.前ふり

久しぶりの更新になってしまったが、年末にeイヤホンのセール情報を見ていて

www.iriver.jp

が80000円で出ていたのでつい購入。前から気になっていたのと、旭化成エレクトロニクスのチップ使ったやつ聴いてみたいなあ、DP-X1Aとアンプの組合わせだと結構でかい上にバッテリーの消耗が激しいのでもう1台ほしいなあと思って購入(要は欲しいだけやんけ)。まだ使っていない機能(LINE OUTとか)もあるけど、100時間ほど使ったのでとりあえずレビュー。

 

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2.音質など

何はともあれまずは音質。一言でいうと、味付けのない音。全体的にやや重心低めな印象もあるけど、中高音も含めてキレイに出る(元々、中〜低音が強いAndris Nelsons /  Boston Symphony Orchestraのブラームス交響曲全集を聴きながら書いているが、1番2楽章のバイオリンソロなどたまらん)。解像度は高いと思うが、音源による。音場は一貫して広く、横方向だけでなく、縦方向(上下というより奥行きを指しているつもり)の音場がはっきりと感じられる(これも音源によってかなり違う)。

しばらく色々な音源を色々なイヤフォン・ヘッドフォンで聴いていて気づいたのは、音源(録音)とイヤフォン・ヘッドフォンの性格がとても明確に反映されるということ。低音を強調した録音だとそのとおりに、硬い音の録音だとやはりそのとおりに。1960年代あたりのバーンスタイン・NYPのやや人工的な分離感とシャリっとした高弦、金属的なトランペットの音もそのとおりに。イヤフォン・ヘッドフォンの傾向も明確に出るので、音質のレビューは何を使うかで決まっているところもあるかもしれない。その意味で、複数のもので比較していないレビューは注意する必要があるし、何を使ったか明記していないものはあまり参考にならない(後者は元からry)。狙っている路線からすると、もっと味付けしているのかと思っていた(心配していた)が、全く違った。

いくつか試してみた結果。なおAKG K812以外はバランス接続。

  • AKG N40を使ったらやや低音が強く、音源によってはぼんやりと聞こえることが多く、いまいち。
  • Etymotic Research ER4SRは非常に相性が良い。低音が引き締まって、高音はよりキレイになった感じ。DP-X1Aで使っているときよりもずっと良いイヤフォンなのではないかと思ったくらい。
  • MEZE 99 Classicsはやはりソツなくこなしてくれてなかなかの相性。さすが*1
  • AKG K812は高解像度で高音がキレイ、時々キツいと感じる人もいるかなあという性格が一層ハッキリする。個人的には好み。
  • Final Audio Sonorous VIは最も相性が良かった。低音がややぼやけた録音でもボワつきが全くなく、引き締まった音になり、かつ、もちまえの高解像度を発揮できる。意外な発見。

3.使い勝手ーUI、ケーブル、Wifi、サイズ

Androidベースの独自のUIで、おそらくAstell&Kernを使っていた人にはなじみやすい。初めてでも使ってりゃ分かるという感じ。色々なところで指摘されているが、確かに物理ボタンとタッチパネルの使い分けが微妙なので、そのうちアップデートでタッチパネルでも物理ボタンと同じ操作ができるボタンを入れてほしい。

バッテリのもちはまあまあ良い。High Gainでブラームス交響曲全集を4回〜5回続けて再生したらなくなる感じ(どんな感じだ)。

充電とPCへの接続のためにUSB-C(KANN側)-USB-A(PC側)のケーブルがついてくる。せっかくUSB-Cを使っているのに、USB-C-USB-CでMacbook Pro 13につないでみたところ、データ転送はできなかった。謎仕様だがケーブル変えればできるのだろうか。なお、USB-C-USB-Cで適当なアダプタにつないで充電することは出来る。また、どうやらUSB 3ではないようで、データ転送はUSB 3対応のカードリーダーの方が速い。

なお、Macとの間のデータのやりとりには一般的なAndroid端末と同じAndroid File Transferという極めて出来の悪いアプリを使う。どのくらい出来が悪いかというと、どの端末でも認識できなかったり、ファイル転送時・転送中に認識できなくなったり、4GB以上のファイルの転送ができなかったり、認識できない場合に無駄にたくさんウインドウを開いたりする(イヤってほど指摘されてますわな。こことか。)。DP-X1Aでも同じ問題はあったが、KANNの場合はいったん認識されなくなるとなかなかつながらない。業を煮やしてCommander Oneというファイル管理ソフトを使ってみる。何度か使ってみたけどAndroid File Transferのようなエラーは今のところ起きない。有料版買うかなあ(無料版ではAndroidのMTP利用ができない)。

Wifiがついているのだけど、稀に他のマシンでは電波をつかめるwifiが圏外になる。これまた謎。Andoroid使ったDP-X1Aではつかめるのに。

サイズはまあでかいが一応ワイシャツ等の胸ポケットには入る。上着なら余裕だけど、重いので型崩れするかもしれない。ただし、発熱はすごい。今は冬なのでホッカイロ代わりになるが夏場はどうしようかというレベル。熱くなりすぎるが熱より先に汗でおかしくなるんじゃねえのかな。

4.非常に困ることーSD/micro SD

KANNはmicro SDに加えてフルサイズのSDカードを使える。これは素晴らしい。というわけでLexarの256GBを放り込んだ。音飛びや読み込みの遅さに起因する問題はない。

しかし、だ。使い始めて3日目に電源を入れたら「破損したSDカード」という表示が。もちろん、ファームウェア等は全部アップデートしている。iMacでSDカードを読み込んでみると、空き容量からは音楽データは残っているはずだが、表示されなかった。いくつか策を弄してみたが結局どうにもならず、Mac上でフォーマットして再度データを転送。ああめんどくさい。

SDカードはその後、現在に至るまで1週間ほど機嫌は良い。またまた、しかし、だ。今度は電源を入れたら突然micro SDの方が「破損したmicro SDカード」だと。ダメ元でMacbook Proで読んでみると、音楽データは無事だった(ように見えた)ので、KANN側でフォーマットして再度データを転送。ああめんどくさい。しかし、よーくみてみると、直前に放り込んだデータがフォルダごとなくなっている。Macbook Proの方にもなく、どうも「破損した〜」となってからアクセスできなくなっていた模様。ええいめんどくさい。

いずれもきっかけになったのはカードの抜き差し。もちろん、KANN側で取り出しの操作をするか電源を切ってから抜いている。「破損〜」後のMacからのデータのアクセスも併せて考えると、カタログファイルがおかしくなっている可能性があるんじゃないかと勝手に推測している。どうやら似たような症状はAstell&Kernの他のプレイヤーであったようだが、なんでKANNではファームウェア等のアップデートで改善されていないのか謎である。厄介なのでサポートに連絡しようと思うが対応してくれるかは不明。

5.とりあえずの結論

そのうち評価が変わるかも知れないが、ブラームス1番も終わってBernstein/NYPのコープランド・Billy the Kidの中盤なので、とりあえずの結論を。

  • 当初の実売12万ならさておき、購入価格からするとかなり良いプレーヤーではある。
  • ただし、どんなイヤフォン・ヘッドフォンを使うかは非常に重要。DP-X1Aよりもシビア。
  • SD/micro SDはいつやられるか分からないので必ずバックアップを。

*1:なお

yorokuyadoroku.hatenablog.com

も参照。